「ZOO」 (乙一 / 集英社)

主に「小説すばる」等に掲載された作品を収録した短編集。
10編収録、330ページ


ホラーの中にミステリ要素を絡め、ちょっと泣かせるというだけでなく、
大胆すぎるドンデン返しまで入った贅沢さもあるから始末におえない。
個別の感想はこれから読む方に失礼なので全体の感想。


過去の作品はミステリ要素がうまく機能しなかったり
余計なものになってしまいがちでしたが
今回の作品に関してはそれがうまく作用しているし
うまく驚きを与えるのに成功していると思う。


ベストを挙げるとすると
再掲載になりますが泣きホラーの傑作「SEVEN ROOMS」。
次点ではこの作品集では毛色の変わった「陽だまりの詩」。
凝った入れ子構造に感心した「神の言葉」あたりです。
個別作品の感想についてはまたそのうち気が向いたら書くかも。


強引に一言で言ってしまえば、乙一氏にしか書けない物語、
乙一」というジャンルになるかもしれません。


乙一」というジャンルを体験するにはもってこいの一冊。
文庫で出してほしかったー。