「生ける屍の死」 (山口雅也 / 東京創元社)

ニューイングランドの片田舎で死者が次々に甦った。
この怪現象の中、霊園経営者一族の上に殺人者の魔の手が伸びる。
自らも死んだことを隠しつつ事件を追うパンク探偵グリンは、
肉体が崩壊するまでに真相を突き止めることができるのか。


奇抜な発想から笑いと悲しみを感じさせる傑作。
使い古されたギミックを多用しながらも、
ひとつのルールを書き換えてしまうことで物語は大きく変容してしまう。
なんてったって殺された人物がナイフ突きたてられながら
ケンカの仲裁などを始めるありさまにはクラクラさせられました。

主人公一族の職業である葬儀屋という特殊な内容もからみあって
やや哲学的な要素までからめた欲張りな一作。
中盤の殺人現場のビデオ再生や暴走棺桶などの笑える内容もあって
飽きさせず読ませてくれました。