「塵よりよみがえり」 (レイ・ブラッドベリ 中村融 / 河出書房新社) ISBN:4309203655

アメリカ中西部に隠れ住む魔物の一族、「エリオット一族」を描いた連作短編集。
23話収録、230ページ。


作者が長年にわたって書き続けてきたシリーズなので、正直あんまり内容に統一感がないのがおしいです。
登場人物のひとりに、一族にひろわれて育てられたティモシーという少年がいるのですが、
彼と一族の違いがもっと意識的に描かれてもよかったのではないかとも思いますし、
人間と一族は基本的にあいいれないものであってもよかったのではないでしょうか。


作品集としてはとりとめのないものになってしまってやや不満ですが、個々の作品は面白いものも多く、海外幻想ものが好きてしたら読んでみるこのをおすすめしたいです。


個別の作品では、
番外編にしてこのシリーズの雰囲気を最も色濃くかもしだしている「オリエント急行は北へ」
魔物のプライドの高さが見てとれる「テーベの声」
徹底したコメディぶりが楽しい「十月の西」あたりが好みです。


80を越えていまなお現役の生ける伝説を味わえるということは
やはり幸せであるといっていいでしょう。