「似非エルサレム記」 (浅暮三文 / 集英社) ISBN:4087753220

エルサレムは目覚めた。
そしてあらゆる呪縛から解き放たれるために、動き始めた。


すげえ、ファンタジーだったんだ。
まあ最近になってこういった現代小説を読み始めたので
作者がどういった作品を書いているのか知らないわけです。
(すっと歴史小説ばかりでした。あとSF)


あらゆる宗教の聖地が集まってしまっているのがエルサレムという土地で、
そこには宗教的なものだけでなく、政治的なものまで集結し、
複雑な力関係が具現化されている場所だ。
そんな場所が突然移動を始めてしまったという話。


タイトルから偽エルサレム滞在記みたいなものかなと考えていたので
かなり意表をつかれました。
最後までどこかひょうひょうとした雲をつかむかのような物語。
それに右往左往する人間のこっけいさが対比して描かれるので
そこにユーモアを感じました。
…だけど読語感はいまひとつものたりなかったかな。