映像の世紀 第五集「世界は地獄を見た」

動く映像が全てを物語る二十世紀を振り返るドキュメンタリー。
第五集は第二次世界大戦により引き起こされた
人が人を殺していってしまう悲劇を見つめ直す。


映像の世紀」の中でも最高傑作と名高いのがこの第五集ですが
まさにその評判を裏づけできる内容と言えるものでした。


第二次世界大戦そのものの展開は比較的あっさりしたもので
ドイツのポーランド侵攻→フランス占領→対ソ開戦→苦戦→ノルマンディー→降伏
といった具合でけっこうはしょられているかなといった感じ。


しかし、そういった流れも記憶の彼方におしやるのが
ナチスユダヤ人隔離から強制収容所にかけての流れや
各国軍隊の行った無差別爆撃などの映像で
その凄惨さは筆舌に尽くしがたいものがあります。


そして最後に流された解放された収容所における映像は
それまでの映像でさえも生ぬるかったことを痛感させられます。
そこに映されるのはまさに死体の山、山、山…
折り重なるように室内に放置されたそれや、
ブルドーザーで土くれのように集められるそれ、
人の手によって集められ、穴の中にうず高く積み上げられたそれなど
息をのむかのようなものばかりでした。
そしてそこに流された兵士達のコメントも効果的だったように思われます。
特に「その町に入ると、臭いがした」の一連のコメントが印象的でした。


そしてそれまでの都市爆撃の様子をさんざん見せつけられてからの
原爆投下後の広島と長崎の映像は、その比較するべくもない
あまりの容赦のなさに慄然とさせられます。
ここでは音楽も非常に効果的に使われていました。


まさにこの回の目的は「人が人を殺してしまうこと」に対しての
恐怖と映像の集まりでさした。
これは本当にすごかった。
奇しくも第二集でのチャーチルの言葉がひとつもらさず的中してしまっているということでしょう。
http://d.hatena.ne.jp/mainichinetaro/20031224
↑ここで全文参照できます。(id:mainichinetaroさんの日記です)
これは、予言だ。