「山ん中の獅見朋成雄」 (舞城王太郎 / 講談社) ISBN:4062121131

獅見朋成雄(シミトモナルオ)は背中に鬣を持つ中学生。
たぐいまれな運動神経を見込まれて、オリンピック代表選手の強化合宿に誘われるものの
なんとなく断ってしまう。
そんな時、書道の師であり、遊び相手でもある
モヒ寛が何者かに襲われて瀕死の重傷を負う。
誰がモヒ寛を襲ったのか、そして山の中で見た馬の正体は。
260ページ。


作者の本はデビュー作である「煙か土か食い物ISBN:4061821725 を読んで、
その独特の文体とあまりにひどいミステリ性についていけず
それ以降の作品は全く読んでいません。


この作品もあらすじだけ読めばミステリみたいですが
実はそんなことなくて、どちらかというと純文学に近いようです。
それでも独特の改行を使わず、句読点も少なめの早口でまくしたてるような
文体は相変らずで、そのドライブ感を楽しんでいる方も多いようです。


しかし、その文体はまだいいのですが(妙な擬音が多いのは戸惑いますが)
今作においては内容がどうにもならないので、
その中でも最大に気に食わないのが主人公・獅見朋成雄の行動そのもの。
なんだか考え方などに一貫性が全くなく、
その場の思い付きで行動ぢているようにしか思えないところや、
犯罪行為に対してなんの躊躇もないのは個人的にはちょっと受け入れにくかったです。


やっぱりこの作者の作品は肌に合わないなあという印象が強く、
これ以降の作品は手を出さないかもしれませんね。
独特の文体は一度経験してみるのもいいかもしれません。