夜更けのエントロピー (ダン・シモンズ / 河出書房新社) ISBN:4309621813

夜更けのエントロピー

大家の意外な短編を日本独自の編集で発売する企画ものの奇想コレクション
その奇想コレクションの第一弾。
7篇収録、340ページ。


ダン・シモンズといったら「カーリーの歌」や「ハイペリオン」といった作品が思い浮かびますが
この作品集では社会派のような一面を披露しており、こういう面もあったんだなあと思わされます。


それは最初の一編「黄泉の川が逆流する」でいきなりそうで、
死者が蘇るという題材をファンタジー風に見せるのではなく、
周囲の人間の対応や、精神面から投影することによって意外な面を見せてくれます。


その他では「ケリー・ダールを探して」や「最後のクラス写真」のように
SFのような、ファンタジーのような境界線をゆらぐかのような作品も見受けられて
その強引さに驚かされますが、
やはり意外なツイストのきいた「ドラキュラの子供たち」が最高。
オチがとんでもないところからやってきましたよ。
笑ってはいけないのかもしれませんけど。


やっぱりこのシリーズはすごいです。
秋以降に出るという新刊にも期待したいところ。