チルドレン (伊坂幸太郎 / 講談社) ISBN:4062124424

チルドレン

短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。
伊坂幸太郎
5編収録、287ページ。


短編集の形態をとっていますが陣内を主人公とした連作短編集ですね。
学生時代の陣内、そして家裁調査官となった陣内が時系列入り乱れて書かれており
しかもその順番にさえもしっかりと意味があるのだから面白いです。


相変らずおしゃれで、ほろりとさせる内容はそのまま、
しかも物語の主軸をしっかりずらしてみせるうまさに感心させられます。
陣内という人物はかなりエキセントリックでいわば「普通の人」ではないのですが
彼の言葉には何度かはっとさせられましたし、
常に夢に向かっているようなエネルギッシュさには少し憧れます。
そう、憧れてしまいましたね。


脇を固める人物も本当に魅力的で、切れ物永瀬くんなどは
ミステリの主役はれるような人物でしょう。


全ての話が面白く、そして本にむかってつっこみたくなるような
爽やかな話ばかりで、明るいミステリが読みたい方にオススメです。
「レトリーバー」や「チルドレンII」の主軸の外し方が本当にお気に入り。