ヨットクラブ (デイヴィッド・イーリィ / 白須清美 / 晶文社) ISBN:479492738X

ヨットクラブ

正しいようで、どこかゆがんだ世界を描く短編集。
16編収録、320ページ。


つかみどころがない。
これが読み終えたあと真っ先に出てきた言葉です。
変な事実があって、それがだんだんとエスカレートしていく。
こういった表現方法は漫画ではよくあるのですが
小説ではあまり見ないと思います。
どちらかというと活字媒体では奇抜なラストを用意しておいて
平坦な中盤からラストでどかん、という展開が多いように思えるのですが。


中盤あたりから漂う奇妙な雰囲気がたまらない居心地の悪さを感じる「理想の学校」
富豪達が集う同好会の意外な秘密を語った「ヨットクラブ」
本社勤めを実現するために頑張るサラリーマンを描く「面接」
ロケット発射の秒読み中に思い出されるとんでもないこと「カウントダウン」
70ページ相当とこの中では長いほうなのですがこれぞまさしく奇想話といえる「タイムアウト
「面接」のようなエスカレートっぷりがたまらない「隣人たち」
淡々ととんでもないことを吐露していく「大佐の災難」
新しいオルガンを導入してもらったオルガン弾きの災難を描いた「オルガン弾き」
などが好みでした… ってかなりあったなあ。


やや当たり外れは大きいのですが楽しめる作品の量に圧倒される
まさしく奇想話が沢山収録されています。
あんまり長編を読みたいとは思えないのですが、
第二短編集が出たとしたら読んでみたいと思いますね。


★★★★