夜のピクニック (恩田陸 / 新潮社) ISBN:4103971053

夜のピクニック

高校生活の総決算を意味する一大イベント「歩行祭
夜を徹して八十キロを歩き通すというだけのイベントである。
三年間わだかまっていた想いを清算すべく、あたしは一つの賭けを胸に秘め、当日を迎えた。
342ページ。


最初は「死のロングウォーク」(スティーヴン・キング / 扶桑社文庫) ISBN:4594004539 みたいなもんかと思うと全く違う。
高校生数人がひたすら歩いて歩きとおすだけというもので
ホラー的要素は全くなし、だからといってミステリでもなく、
いわば青春小説といった感じでしょうか。
作者のデビュー作「六番目の小夜子」(恩田陸 / 新潮文庫ISBN:4101234132 を思い起こさせます。


学生時代っていいなあと思わせる作風は相変わらずで、
過ぎ去ってしまったものを惜しむ心境になります。
それは物語の中の人物も同じようで、そういった意味人間っていつまでたっても変わらないんだなあと思わされます。


主人公達の秘密が物語のキーですが、
その秘密そのものが肝心かなめではなく、
そのことを含んだ思考や会話がメインにすえられています。
たっぱりすごく面白い、というよりはそこらへんが「いい」といった印象。


★★★★