さまよう刃 (東野圭吾 / 朝日新聞社) ISBN:4022579684

さまよう刃

長峰重樹は妻に死なれて以来、生きがいは一人娘の絵摩だけだった。
しかし、絵摩は何者かの手により蹂躙され殺されてしまう。
重樹は犯人の一人を殺害し逃亡する。
「遺族による復讐殺人」としてマスコミも大きく取り上げる。
遺族に裁く権利はあるのか?
社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は!?
361ページ。


さすがのリーダビリティで一気に読むことができました。
内容も社会派といった感じで、ミステリ的要素は薄いのですが
事件にかかわっている人物の心情面への描写が多く、そのあたりは胸を打ちます。
特に捜査陣、警察側の心の葛藤は誰しもが思う感情ではないでしょうか。


あとは、犯人側というか巻き込まれて共犯の手伝いをさせられてしまう格好になった
誠少年の描写もなんだか妙にリアリティがあるのがなんだか微妙な気分です。


だけど作品そのものとしてはあらゆるものが無難なところに収まってしまったというところで
あまり驚きもなく読み終えてしまったのは残念なところです。
もうちょっと、どこかで爆発させても良かったのでは。


★★★