夜市 (恒川光太郎 / 角川書店) ISBN:4048736515

夜市

表題作品を含む2編を収録した短編集。
2編収録、179ページ。


予想以上の薄い本に驚きました、すぐ読めるのは楽で…
いやいや、するっと読めますよ。


「夜市」
大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。
裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。
夜市では望むものが何でも手に入るというが…


驚きました、この作品ファンタジーと言われる方が多いのですが
根幹にあるのはSFじゃないかと思うんですが、どうなんでしょう。
しかし最初のころに想像した展開とは全く違った展開になる後半部分は(主人公が変わってますよね)
どうにもならない悲哀を感じさせます。
惜しむらくは描写をもっと丁寧に、丹念に見せてほしかったところかな。
★★★


「風の古道」
小金井公園とを結ぶある道。
さいころにその道を歩いたことのある私は、
ある時友人のカズキと共に再びこの古道を歩くこととなったのだが…


個人的にはこちらの作品のほうが好みに合っていまして、
この作品だけの世界がなんとも不気味で、
そこがなんとも言えない気分にさせられます。
そしてこちらにも漂うSFの匂いが作品を独特の手触りにしているようです。
★★★★