ユージニア (恩田陸 / 角川書店) ISBN:404873573X

ユージニア

あの夏、丸窓の屋敷で催された米寿の祝い。
運び込まれたジュースを飲み、17人が死んだ。
現場に残された謎の詩、「ユージニア」。
唯一生き残った、盲目の美少女。
444ページ。


この事件についてかかわった人物へのインタビューをしているという形式で進められていますが
様々な角度からひとつの事件のことを見つめていくことにより
ひとつの事象が違ったさまになっていくというところが面白いです。
そしてまさに恩田ワールドといえる幻想的な世界へいざなってくれるのも特徴。


中味はかなり複雑で、この事件についてインタビュー記事をまとめたという
「忘れられた祝祭」という本が出版されていて
その作者やその本にかかわった人物へのインタビューもされていたるするという
入れ子構造にもなっていてなおいっそう複雑です。


すごく独特な感覚でその雰囲気は最後まで保たれていくのですが
なんとも惜しいことにそのままラストまで突っ込んでいってしまって
事件への明確な回答が出されないまま終わってしまいます。
少なくとも私には事件の全貌、というか真相のようなものは理解できませんでした。
そこらへんがもっとしっかりと、いやおぼろげにでも見せてくれていれば
もっと満足のいく読後感だったんでしょうけどねえ。


本当、惜しい。
★★★