冬の犬 (アリステア・マクラウド / 中野恵津子 / 新潮社CRESTBOOKS)

冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)

冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)


カナダ東端のケープ・ブレトン島を舞台にした人と自然と動物達を描いた短編集。
8編収録、262ページ。


こういった文学作品は久々(なんだかなあ)に読みましたが
最後までそれほどのれずに終わってしまいました。
やはりある程度幻想味があったほうがいいのかな。


厳しい自然の中で炭鉱夫や漁師として生きる人々が
その中で生まれた血族や仲間の絆を描くものが多く、
そこには動物達も含まれています。


印象に残った作品の感想
「冬の犬」
なんとも物悲しい。
自分の命を救ってくれた犬を救うこともできずに、
撃たれ死んでいくさまを見るという気持ちは苦しかったでしょうし、
読んでいるこちらも苦しかった。
動物に対する価値観が我々とはまた違うという側面も見せつけられました。
仕事で役に立たないといけないのね…
別作品ではそうでもないところもありますが。


「すべてのものに季節がある」
個人的にはこういったユーモアのある作品が好みなのですが
そういったところのある作品はこの本ではこれだけでした。
「衣類」とされていた箱の正体が明らかになるところは
大人らしいユーモアだと感じたのですが、どうでしょうか。


その他では強いメッセージ性を感じ取れる「クリアランス」
あっけらかんとした中に見えるある種の頑なさが哀しい「完璧なる調和」(でも少し笑わされましたが)


でもなんとなく読み過ごしてしまった作品もあってのりきれなかったのが残念でした。
★★★