「ディバイデッド・フロント1 隔離戦区の空の下」 (高瀬彼方 / 角川スニーカー文庫)

憑魔と呼ばれる異形のものに生活圏を奪われ、明日なき苦闘の道を歩む人類。
その身に憑魔を宿してしまい、隔離戦区という人類と憑魔の緩衝区域で常に闘いの場に送りこまれた少年と少女の物語。
310ページ。


どう考えても明るい未来など待ちうけてなさそうな世界ですが、
そんな中確たる強さと信念を持つ土岐英次は力強い主人公です。
ヒロイン・宮沢香奈の弱々しさには同情を禁じえませんし、
そしてそんな弱さを持ちつつ前向きな英次を応援したくもなってくる。
だけど、そんな気持ちが空回りしっぱなしだったストーリーはちょっと残念だ。
どう考えても今回の事件を複雑化させた原因は英次だし、
まさに結果オーライといった内はちょっと残念。
あと、短いスパンで語り手を変える手もいいのですが、
全てのキャラクタにその役目を負わせる必要もなかったかな。
このまま、真っ直ぐとしたストーリーで終わることを祈りたい気分、次期待。