「妖都」 ISBN:4062731673 (津原泰水 / 講談社文庫)

ロックバンド「CRISIS」ボーカルのチェシャが飛び降り自殺をする。
その後、都心部で増え始める自殺や死亡事故。
その秘密の一端を知った周防馨は鞠谷雛子という少女とともに
「CRISIS」メンバーとの接触を試みていく。
ホラー、400ページ。


なんとも気持ちが悪いです。
その印象はつかんだものが腐っており、
そのものの中に手をつっこんでしまったような印象。


美しい文章に彩られた世界はだんだんと崩壊していくのですが
そのじわじわと変貌していくさまがゾクっとさせられます。
しかし広げた風呂敷をたたむことなく
混沌のまま終わってしまったような印象が残ってしまい、
読後感はあんまり良くありませんでした。
ま、内容そのものもあんまり気持ちのよいものではないのですが…


個人的には人を小馬鹿にしたような
「蘆屋家の崩壊」 ISBN:4087474259 (感想)のほうが好み。
笑えるし。