「銀盤カレイドスコープ vol.1」 (海原零 / 集英社スーパーダッシュ文庫) ISBN:4086301326

主人公・桜野タズサは素質に恵まれたフィギュアスケータ。
オリンピック候補に選出されたものの、世界大会ではいまひとつの成績が続いている。
そんなタズサにある日突然、ピートと名乗る幽霊が取り憑いてきて…
280ページ


簡単にまとめるとスポ根ものというジャンルに入りそうな作品です。
こういった作品では主人公は様々な困難に遭遇して
それを克服していくという経過を辿ることが多いのですが、
この作品の場合は心の中に憑依した幽霊という変わった要素になっています。


しかしその幽霊・ピートが彼女のいまひとつ受け入れられにくい性格を
だんだんと変えていくさまが描かれており、
その点が自然で良かったです。


そして最大の魅力は、スケート演技のシーンでしょうか。
最近のフィギュアでは演技に物語を仕込んである人も多く
それが豊かな芸術性につながっていますが
それを小説で表現してしまったというところがたいへん素晴らしい。
タズサと一緒にスケートを追体験できたかのような
躍動感あふれる文章は一読の価値ありと言えるでしょう。


この調子でvol.2もさくっと読めること受けあい。
次巻は明日。