ルール (古処誠二 / 集英社) ISBN:4087753069

ルール

終戦間近のフィリピン戦線。
鳴神中尉率いる小隊の敵は、アメリカ兵でもゲリラでもなく、
「飢え」だった…。
310ページ。


今一番文庫化してほしい作家なんですが、まだですかね、講談社さん。
ほとんど私と同世代の方がこういった作品を描きだせるというところに驚きを隠せませんが
やはりこういった悲惨な行軍ものはなんともいえず息苦しいです。


一日数百キロカロリー生きぬくというのはまさに想像を絶するもので
そこに残された「ルール」がなんとも壮絶に表現されます。
読んでいて思い起こされたのは大岡昇平「野火」ですね。


正直感動できる内容ではないのですが
捕虜となったスミスが鳴神達と出会い、
言葉が通じるようになった瞬間の表現に心を揺さぶられました。
そうだよなあ、言葉が通じてさえいれば…