碇星 (吉村昭 / 中央文庫) ISBN:4122041201

碇星

男の死や定年後の生き方を描いた短編集。
「飲み友達」「喫煙コーナー」「花火」「受話器」「寒牡丹」「光る干潟」「碇星」
8編収録、200ページ。

作者自身の体験と、創作が入り交じった短編でほろりと泣かせる展開はさすがといったところ。
特に作者自身の体験と思われる肺結核手術に関するエピソードは
頻繁に出てくるにもかかわらず、それほどくどさを感じさせません。
その手術の執刀医の死と孫の生を感じとる「花火」と、
ひょんなことから知り合った知人の弟の骨を取ることになる「喫煙コーナー」が特によかったです。


生と死が隣あっているということを実感できる作品でしょう。