アルファベット・パズラーズ (大山誠一郎 / 東京創元社) ISBN:4488017118

アルファベット・パズラーズ

吉祥寺のマンション「AHM」の住人とオーナーが解き明かす難事件の数々を収録した短編集。
3編収録、249ページ。


ミステリってやっぱ面白いなあということを再認識させてくれる作品ばかりでした。
それぞれ感想。


「Pの妄想」
家政婦に毒殺されるという妄想にとりつかれた珠美は
大の紅茶好きであるにもかかわらず缶紅茶しか飲まなくなっていた。
しかしそんな彼女が茶会で毒殺された…


全く想像の裏側でした。
普通なら家政婦やめさせちゃうよねえ、なんて思いながら読んでいたのですがそれなら納得ですよ。
こういたところに気が付けばミステリ読みとして一歩先へいけるようになりそうだねえ
と思いながら次の作品へと向かいます。


「Fの告発」
指紋チェックによるセキュリティ対策が施された美術館収蔵室内で職員が殺された。
その室内に入ることのできる人物は被害者を含めて4名。
しかし残る3人には犯行は不可能のように思えたのだが…


この作品はちょっと仕掛けは読めたのですが
まさかそんなオチだなんて…
あんた普段からそんなことしていたのですか、そりゃあまりにも不自然ではないですか?
誰もそのあたりに気付かないというのも変な感じがするのですが…
しかし一箇所が崩されるといろいろと不合理な点が次々と現れるのはなかなか壮観ですね。


「Yの誘拐」
12年前におきたある誘拐事件。
誘拐された悦夫は身代金と共に爆破され、死んだ。
悦夫の父・成瀬正雄の手記を読んだ四人は再びこの事件を調査することになった…


これは先が読めずにドキドキさせられました。
しかし実は最初の手記の部分が一番ドキドキしたというのはどうしたもんか。
スポットライトの当てられ方が不自然な感じもしたのですが…
一番長い(というかこの本の半分以上はこの話だ)作品ですが
長さを全く感じさせませんでした、面白かったです。


★★★★