鉄塔武蔵野線 (銀林みのる / 新潮社) ISBN:410402001X 文庫版ISBN:4101383219

鉄塔武蔵野線

夏休みも半ばを過ぎたある日のこと。
5年生の見晴は近所の鉄塔で番号札を見つける。
その名は「武蔵野線75‐1」。
新発見に胸を躍らせた見晴は、2歳下のアキラを誘い、武蔵野線を遡る。
「オレたちは鉄塔を辿っていけば、絶対に秘密の原子力発電所まで行けるんだ」
―未知の世界を探検する子供心のときめきを見事に描き出した新・冒険小説。
第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
246ページ。


まさしくファンタジー、次々と現れる現実的なファンタジックさにニヤニヤさせられっぱなしでした。
この作品を特徴づけるものとして文と共に載っている鉄塔の写真があるのですが
これも鉄塔ごとに違う表情を見せていて読んでいるこちらのほうまでも
鉄塔への興味をそそられてくるから不思議です。


ただ単に鉄塔を見て回るだけの話がこれだけ幻想的に見えてくるというのも不思議ですが
そこにはなんら不可思議な現象が起こるわけでもなく
実際にありえる事象しか起こっていないわけで
こんな読み心地の作品というものは初めてでした。


子供らしい主人公もその心情が分かるだけに大変楽しめました。
だからこそ最後がちょっとね…
★★★