魔術師が多すぎる (ランドル・ギャレット / 皆藤幸蔵訳 / ハヤカワ文庫HM) ISBN:4150727511

魔術師が多すぎる

弁護士や科学者のかわりに魔術師が社会の要職を占める
もうひとつの現代ヨーロッパ。
その魔術師たちの大会がロンドンのホテルで開かれようとした矢先、殺人事件が発生した。
呪文で封じられたドアと窓の外では人々が談笑している部屋の中で
主任宮廷魔術師の刺殺体が発見されたのだ。
この密室殺人の犯人として被害者のライバル魔術師が逮捕されたのだが
主任捜査官ダーシー卿はこの処置に対し重大な疑問を提示した。
347ページ。


俗に言うパラレルワールドものになります。
科学と魔法がどちらも発展した世界が題材ですので
科学捜査とともに魔法捜査というものも行われるところが面白いです。


魔法は万能でありこういった世界ですので証拠としても認められているのですが
同時に限界もあって、そういったところを丁寧に解説してくれているのは親切ですね。
特に面白いのは「特定のものを他人に意識させなくする」という効果をもつ「ターンヘルム効果」でしょうか。
これさえあればどんな犯罪でもできてしまえそうなものですが
どうやらそうもいかない様子。
魔法って万能ではあるのだけど完全犯罪するのはまた大変ねー。


密室殺人が題材なのですが決してそこに物語の全てが集約されているわけではなく
社会情勢やら王様やらが出てきてかなりにぎやかなかんじです。
肝心の密室殺人のほうはどうかというと
ちょっと…というのが正直なところなのですが
丁寧な伏線のおかげもあって納得いくものになってます。


全てのところが魔法でポーン!
といったぶっとんだものにはなっていないところは面白かったです。
★★★
こんなもんで。