ボトルネック (米澤穂信 / 新潮社)

ボトルネック

ボトルネック


恋人を弔うため東尋坊に来ていた嵯峨野リョウは、
強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。
しかし、目が覚めたところは家のある金沢市内。
とまどいながらも家へ帰るとそこには
存在しないはずの「姉」に出迎えられた。
どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。
248ページ


この後味の悪さは以前の「犬はどこだ」の比ではないですね。
http://d.hatena.ne.jp/G_CAR_STK/20050726#p1(感想)
書けば書くほどネタばれに走りそうですが、あえてそこには踏み込まないように。


ここで出てくる(架空の?)姉であるサキはたいそう魅力的なのに
主人公であるリョウはそれほど魅力的ではないですよね。
どこか超然としている感じで。
そしてその違いが物語に致命的なものを残してしまうというのも面白いところです。


ミステリ的なものも用意されていますが
全く想像もしなかったところから問題点と解決が示されるので
テーマとは直接関係ないとはいえ驚かされます。


そしてなんといってもあのラスト。
どうとでも受け取れますが、私としては意地を張りたくなっちゃうなあ。


軽く読めるのですが中味は重いです。
★★★★