12月のベロニカ (貴子潤一郎 / 富士見ファンタジア文庫) ISBN:482911486X

12月のベロニカ

若き騎士フレイルと片腕の男ハキュリー。
二人の出会いは女神のもたらした運命だったのか……。
幼なじみとの淡い恋と別れ、騎士の誇りと友情、
夢と絶望そして打算と裏切りが絡み合う珠玉のハイ・ファンタジー
292ページ。


やーらーれーたー。
ひねりのきいた構成にしてやられました。
これには降参せざるを得ないですね。


独特の世界設定と多くを描写せず、
必要最小限の描写だけで進展する物語にはおおいに拍手を送りたいです。
しかし文章そのものはややぎこちない雰囲気で、
やや説明臭いところは最後まで払拭できませんでした。
なんというか、一人称のくせに臨場感がないという感じですね。


悲しい恋物語ですが、それよりも読者に訴えかけてくるのは
理想の騎士道と現実の厳しさ、そして慈しみの心でしょうか。
傑作ということは間違いないですね。
「眠り姫」 ISBN:4829116633 もすぐ読もう。
★★★★


蜃気楼の旅人