風雲児たち 幕末編 6巻 (みなもと太郎 / リイド社) ISBN:4845828960

風雲児たち 幕末編 6巻

幕末の歴史を描こうとしたら関が原の合戦から描き始めることになってしまい、
約20年以上も遠回りをした歴史大河ギャグコミックという誰も到達していない作品、
この作品こそ日本コミック界が抱える至宝だと思っています。


今巻は前巻に引き続いてペリーの対日本外交のあれこれと
黒船をめぐる日本人内部の事情を描きます。


そして最大のクライマックスは吉田松陰の黒船密航未遂事件。
いたるところで語られる直情的な松陰の行動ですが
ここでもその狂人っぷりを発揮、2ページにわたる訴えも叶いません。
ここらへんの迫力はさすが、そしてその後の行動もさすがと言えるでしょう。
やっぱ普通じゃないな。


ペリーのハッタリ外交に驚かされた前巻に比べると
新鮮な驚きは少なかったのですが
だんだんと揃い、かつ己の考えを固めていく人物達を見ていると
クライマックスが近づいてきていることをひしと感じさせられます。
あと20年かかってもいいのでしっかり全てを見せてほしいです。
2002年に発見された資料が反映されていたのは驚きましたよ。


実はギャグのほうはいつもと比べ多くなく、正直ちょっと不満もあります。
だけど凡百の作品とはその基準点が違うわけですが。
★★★★