老ヴォールの惑星 (小川一水 / ハヤカワ文庫JA) ISBN:4150308098

老ヴォールの惑星

SFマガジンに掲載された同名タイトルの作品を含んだ
4編の作品を収録した短編集。
4編収録、379ページ


全編はずれなし、面白かったです。
特異なアイデアをそのまま生かした作品ばかりで最後までぶれないのが良かったのかもしれません。
やっぱり短編はそういうところが好きですね。


「ギャルナフカの迷宮」★★★★★
社会というものがない世界に社会を築いていくという一風変わった内容の作品ですが、
本当に面白かった。
迷宮系のRPGになるかと思ったらRTSになったような感覚が奇妙。


「老ヴォールの惑星」★★★★
知性をその個体を取り込むことによって継承していく知性体が特徴。
正直この作品は設定が奇妙ですんなり理解できなかったのですが
優しい登場人物(?)のあかげで軟らかな感じは居心地のよいものでした。
最後に現れたある異星人にある希望を見てしまうのは私が人間だからでしょうか。


「幸せになる箱庭」★★★
こういう設定ってどこかで見たことがあるような気がしますが。
どんな設定だったかは完全にネタバレになってしまうので書けません。
しかし最初に見た話からこんなオチになるとは想像つかなかったですね。
流用が多いけど。


「漂った男」★★★★
100ページを越えるこの作品集では最もページ数の多い作品ですが
このまさに漂っているだけの内容をここまで読めるものにして
かつ最後で感動させるというラストにしているところに感服。


素晴らしい内容でした。
小川氏の作品を読んだことのない方に特にお勧め。
★★★★★