パニックの手 (ジョナサン・キャロル / 浅羽莢子 / 創元推理文庫) ISBN:4488547095

パニックの手

普通小説とファンタジイ/ホラーを融合したダーク・ファンタジーの短編集
11編収録、285ページ


これは確かにすごい。
ただの奇想ものとは一味違った作品ばかりで
現実世界のどこかにファンタジー的なしかけがほどこされているといった作品が多く
なんか他にはないものばかりです。
反面なにも起こらない話もあったりしますが。


11編の中では最も長い「おやおや町」が面白かったです。
主人公の家に新しい家政婦がやってきて家の中を整理していくと
懐かしいものが次々と見つけ出されてくるというお話ですが
人としての生きかたや後半部分での化け方が見事です。


そして続くたった9ページの「秋物コレクション」てのが
いい味出していてこれも素晴らしい。
これは普通小説なんですけどね。


「おやおや町」みたいな話になるんだったら「友の最良の人間」でしょうか、
一点除くと普通小説みたいに見えますが


奇想ものを読みたければ「ジェーン・フォンダの部屋」「ぼくのズーンデル」
なんかもいいと思われます。
最初から最後まで奇想ものという感じなので
好みのはずなのですが、この作品集の中ではちょっと見劣りしてしまうんだなあ。
なんかドロンと化けるのが好きみたい。


ちょっと意味不明の作品もあるのよね。
★★★★